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2010年11月

完成度が高い

数年ぶりに和歌山を代表する製材会社であるY商店さんの見学
会に参加してきました。

林業からプレカットまでの全てを手掛けるY商店の紀州材は
昔からこだわりの品質で、いわゆる有名なブランド材です。
主に関東地域に供給しています。

今回の目的は、2年前に導入されたという最新鋭の「蒸気式減
圧乾燥釜」で人工乾燥された杉の平角材(梁材のこと)です。
 
 
Pc自動で木材のヤング係数と水分を測る
機械です。ちなみに手動でヤング係数
を計れる計測器があるのですが高額な
ので手が出ません。水分計は比較的安
価なので自分専用品を使っています。

 
 
何度かサンプルを見ていたのですが、実際大量にストックされ
ている材を確認してみると、杉の高温乾燥材にありがちな色の
焼けや構造的な内部割れが少なく、機械等級によるヤング係数
(≒強度)の表示と相まって、工業製品的な完成度の高さが光
りました。
(ちなみに焼けが少ないのは、釜内の減圧によって乾燥温度を
 70°に押さえているそうです)

実際に、紀州材の強さを構造計算に要いるには、ヤング係数の
表示が必要です。しかしY商店の技術や設備はJAS表示が可能
な先導的なもので、日本全体に普及するにはかなり時間が掛か
るでしょう。

でもその時初めて、国産材が商品としての競争力が付いたと言
えると思えます。一部の嗜好の方を対象としても、使用される
国産材は少量です。

使いやすい性能の国産材を、大量に供給できるY商店の仕事に
私は好意を抱きます。

もう少し手頃な価格ならもっと良いのですけどね・・・

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外壁について破

外壁の種類をどう選ばれていますか?

もちろんデザイン的な好き嫌いもありますが、外壁は費用や耐
久性の差が大きい部分でもあります。
慎重に検討したいものです。


当事務所でも、ある程度の予算を外壁につぎ込める場合には
塗り壁を採用しています。工業製品には無い手作り感があっ
て、魅力的ですよね。

ただ、一般的に他の外壁に比べるとリスクが高くサイディング
のように、建物の揺れや下地の不陸を吸収することが苦手なの
で、クラックに弱いと言えます。

もちろん、それに対応した高価な製品もあるのですが、一般的
には、木造や鉄骨造の揺れに確実に追従するのは不可能です。
 
 
なので塗り壁はダメいう結論ではありません。
やはり、自然の摂理にかなった部分に使うことが当然ながら重
要なことなのだと思います。

昔ながらの日本の家は土塗り壁ですが、板でカバーしたり長い
屋根庇を持っています。塗り壁を得意とするメーカー住友林業
の家も必ず庇をもった家となっています。

木造の場合は、もしものクラックに備えたり塗り壁の汚れを防
ぐには、塗り壁と屋根庇は切っても切れない関係にあります。
 
 
 
Photo_3茶色の部分が塗り壁部分です。
凹凸のある自然素材なので
深い庇で汚れや雨水を防いでいます。 
オリジナルの特注色なので、同じ素材
で同じ色を見かけることはありません。
 
 
 
当事務所では必ず塗り壁は普段、雨水が掛かりにくい場所に設
定しています。誰もが知る当然の理屈なのですが、実際はサイ
コロのような箱形の家を塗り壁で仕上げている場合は、多々あ
ります。


なぜならば、奇抜でカッコイイからです。

設計士もその魅力にメロメロなのですが、ただグッと堪えて
施主にリスクを偏りなく説明するのが、本当の職能だと私は
考えています。

一部の裕福な方を除き、メンテナンス費は建物と施主にとって
とても重要な要素ではないでしょうか?

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